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ブータンに魅せられて

ブータンに魅せられて (岩波新書 新赤版 1120) (新書)
今枝 由郎 (著)
新書: 195ページ
出版社: 岩波書店 (2008/03)
ISBN-10: 4004311209
ISBN-13: 978-4004311201
発売日: 2008/03

「赤瀬川原平のブータン目撃」に次ぐブータンもの第2弾の読書です。
前にも書きましたが、ブータンは「GNH(Gross National Happiness)=国民総幸福量」を標榜しているチベット仏教徒の国です。ヒマラヤのお膝もとにあり、中国のチベット自治区とインドという大国に囲まれた日本の九州くらいの大きさの国です。
著者はブータン国立図書館顧問として鎖国状態にあったブータンで10年以上を暮らした方で、本職はチベット仏教の研究者です。
本書は、著者がブータンに行くために行った様々な試行錯誤から始まり、ブータンの歴史、名君ワンチュック四世の治世、国立図書館顧問の仕事などが、書かれています。
竹蔵が何より感動したのは、ワンチュック四世の政治的な様々な決定でした。
* 民主化を推し進めた議会の設置と国王の罷免権の付与
* 地方分権の推進(大切なことを決める際の地元住民との直接対話)
* インド反政府ゲリラ掃討作戦の遂行(自ら王子と共に陣頭指揮に立ったこと)
* 基本方針としてのGNHの推進(経済発展より文化・習慣の尊重すること)
為政者は自分の権力基盤を強化することが多いですが、国王の罷免権を議会や国民投票の結果に与えることによって国王世襲制の偏りを補おうという発想自体に竹蔵は感銘を受けました。
ちなみにイギリスのレイチェスター大学が2006年に行った”世界幸福地図”調査では、一位はデンマーク、二位がスイス、三位はオーストリアで、ブータンは九位、日本は九十位だったとのこと。
本書では、ワンチュック五世の統治のもと、文化・習慣を守りながらの経済発展がどこまで可能か?という点に関して今後の困難さを指摘する形で終わっていますが、”ヒマラヤが聳え、雨雪が降り、森林が茂る限りブータンは安泰である”という前国王の確固たる価値観を表した言葉が国民の総意としてある限り大丈夫かなと思います。

竹蔵
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