« 犬はどこだ | トップページ | 蟲師 1 »

眼の誕生

眼の誕生
カンブリア紀大進化の謎を解く
アンドリュー・パーカー著
渡辺 政隆訳
今西 康子訳

税込価格 : \2,310 (本体 : \2,200)
国内送料無料でお届けできます
出版 : 草思社
サイズ : 四六判 / 382p
ISBN : 4-7942-1478-2
発行年月 : 2006.3

カンブリア紀のはじめに種が爆発的に増えた「カンブリア紀大進化」の謎に精緻に迫るノンフィクションです。5億4300万年前に何が起きたのか?その謎に向かって、進化論、物理学、化石の知識、色彩の知識、解剖学などの基本知識がまとめられます。その中には、著者がどのような体験を元に謎に近づいていったかという推理小説のような推理の道筋もしっかりと体験談として織り込まれています。
要は、著者の学説の一般向けのお披露目ですが、丁寧な筆運びなので一般の学術書のように飽きることはありません。
スティーブン・J・グールド博士の「ワンダフル・ライフ」でその謎の解明が克明に語られたバージェス頁岩が、更に詳細に分析され、世界各地で同様な化石が算出しているという新しい知識も盛り込まれていました。また、カンブリア紀の大進化では、生物組織の組成そのものが多様化したのではなく、生物の外側(外見、特に装甲)が多様化したのだということもはじめて知りました。
推理小説ではないので、ネタバレをしてしまうと、これらの進化は、三葉虫が眼という器官を発達させたことによって、捕食効率が爆発的に良くなり、その進化の淘汰圧に対応するために、あるものは環境に同化して捕食者を欺き、あるものはより強力な捕食者となり、あるものは捕食が難しくなるような装甲を身にまとうことによって厳しい生存競争を生き抜いた結果であると結論しています。
この説だと、少なくとも著者が提示した事実や物理現象、進化論、解剖学などと矛盾したものや論理の飛躍は無いように思われます。(だからといってそれが正解とは限らないですが)
人間もこういった進化の結果として、視覚に多くを頼る(逆に他の動物と比べると頼りすぎ)ことによって、生存競争を勝ち抜いて来たことがわかります。百聞は一見にしかず。
最後の章で、何故三葉虫は眼を獲得したのか?それを誘引した環境の変化は何か?という問いがされますが、それには明確な回答は無く、いろいろな既知の説(スノーボール説や海の透明度が上がった説、太陽の光の強さが変わった説)が上げられているだけです。
現在は第4次大量絶滅のさなかにあるようですが、それを起こしているのが人間という傲慢な一種類の生き物だということも、自覚しなければいけないですね。

竹蔵

|

« 犬はどこだ | トップページ | 蟲師 1 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

こんにちは、Boooooksです。
眼の誕生は、非常に興味深い本でした。
このような大変化が同時多発的に発生したと言う事実は、
どんなミステリーよりも奥が深く面白いですね。
私はこの話が「創世記のアダムとエヴァの話」とかぶりました。
地球って面白いな、生物って魅力的だな、と改めて実感しています。

投稿: Boooooks | 2006/05/13 08:31

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 眼の誕生:

» 眼の誕生―カンブリア紀大進化の謎を解く [Boooooks!月に50冊読む私の読書の記録、速読法を公開!]
タイトル:眼の誕生―カンブリア紀大進化の謎を解く 出版社:草思社 著者:アンドリ... [続きを読む]

受信: 2006/05/13 08:28

» 【本】眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く/アンドリュー・パーカー(草思社) [特別-the blog-]
眼の誕生-カンブリア紀大進化の謎を解く アンドリュー・パーカー 草思社 5億44... [続きを読む]

受信: 2006/07/04 01:38

« 犬はどこだ | トップページ | 蟲師 1 »